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老化研究に必須の10のマーカー


Posted by Cell Signaling Technology Japan on 2020/07/01 6:00:00


老化の研究に興味がありますか?細胞周期の停止がいつ、なぜ起こるかを理解することは、発生、加齢、がんの研究をはじめ、それ以外の多くの研究分野にとっても重要です。最高のツールが最高の結果を生み出すことは、誰もがよく知っています。ここでご紹介する老化研究のためのトップ10の標的リストは、そのすべてをカバーしています!

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#1   β-Galactosidase Staining Kit

老化細胞はpH依存的にβ-ガラクトシダーゼを発現することが知られており、特にpH 6で検出が可能です (1)。この便利な染色キットには、pH 6で細胞内あるいは凍結組織のβ-ガラクトシダーゼ活性を検出するために必要なものがすべて含まれています。複数の細胞集団あるいは組織サンプルを迅速かつ簡単に試験するのに最適です。原理は簡明で、青色の染色は明るく明確です。

Beta Galactosidase Staining Kit

集団倍加29回の正常なWI38細胞 (左) および集団倍加36回の老化WI38細胞 (右) のpH 6でのβ-ガラクトシダーゼ染色。

 

#2   p53リン酸化p53

p53は非常によく研究されているため、ほとんど紹介する必要はないかもしれません。DNA損傷応答 (DDR) パスウェイの主要なプレーヤーであるp53は、細胞周期の重要な調節因子でもあり、蓄積されたリン酸化p53はサイクリン依存性キナーゼ阻害剤 (CDKI) の活性化を促進し、最終的に細胞周期の停止につながります。

p53

HT-29細胞をp53 (7F5) Rabbit mAb (緑) を用いて免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察しました。アクチンフィラメントをDY-554 phalloidin (赤) で染色しています。

先に述べたように、老化細胞の細胞周期停止は、蓄積して複数の異なるCDKIを活性化するリン酸化p53に大きく依存しています。p53とリン酸化p53の量の比較は、多くの場合、DDRパスウェイと老化を研究する上で重要なステップになります。

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未処理 (左) あるいはEtoposide処理 (右) したMCF-7細胞をPhospho-p53 (Ser46) Antibody (緑) を用いて免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察しました。アクチンフィラメントをDY-554 phalloidin (赤) で染色しています。

 

#3   p21

最も確立された老化マーカーの1つであるp21は、リン酸化p53の下流のCDKIです。CDK2に対しては、p21はG1/S期を介した進行をブロックすることにより細胞周期の阻害タンパク質として機能します (1)。

p21

MCF7細胞をp21 Waf1/Cip1 (12D1) Rabbit mAb (赤) およびPhospho-Histone H3 (Ser10) (6G3) Mouse mAb #9706 (緑) を用いて免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察しました。DRAQ5® #4084を用いてDNAを染色し、青の疑似カラーで示しました。

 

#4   p16

もう1つの一般的かつ信頼できる老化マーカーであるp16の発現は、細胞の老化を進行させると考えられています (2)。p16はCDKIのうちINK4ファミリーのメンバーであり、CDK4およびCDK6と共に作用して細胞周期をG1期で停止させます (3)。

p16

HeLa細胞およびHUVEC細胞からの抽出物をp16 INK4A (D3W8G) Rabbit mAb (上) あるいはβ-Actin (D6A8) Rabbit mAb #8457 (下) を用いてウェスタンブロッティングにより解析しました。

 

#5   LaminB1

老化細胞はしばしば形態学的な変化を示すため、Lamin B1は老化の別の有用な指標になります。核の形態のマーカーであるLamin B1の発現は、ヒトおよびマウスの老化細胞にて失われます (4)。Lamin B1の消失およびp21p16の蓄積の増加はすべて、老化の重要かつ古典的な特性です。

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HT-29細胞をLamin B1 (119D5-F1) Mouse mAb (緑) およびβ-Actin (13E5) Rabbit mAb (Alexa Fluor® 647 Conjugate) #8584 (赤) を用いて免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察しました。Propidium Iodide (PI)/RNase Staining Solution #4087を用いてDNAを染色し、青の疑似カラーで示しました。

 

#6   老化関連分泌表現型 (SASP)

老化細胞には多くの共通の特徴がありますが、決して同一ではありません。老化細胞の集団それぞれは、固有のレベルのサイトカイン、成長因子、およびプロテアーゼによって特徴づけられます。これを老化関連分泌表現型 (SASP) と呼びます。SASP Antibody Sampler Kitには、老化細胞の研究に使用される様々なタンパク質に対する抗体が厳選されています。これらの抗体により細胞集団に固有のSASPを決定できます。

Senescence-Associated Secretory Phenotype (SASP)

組換えHuman Interleukin-1β (hIL-1β) #8900をIL-1β (D3U3E) Rabbit mAbを用いてウェスタンブロッティングにより解析しました。

 

#7   Rbリン酸化Rb

通常、Rbのリン酸化は、標的の転写抑制を緩和し細胞周期を進行させるために必要です。p21およびp16を含むさまざまなCDKIによる細胞周期の阻害は、Rbの過剰活性化につながります。これは最終的に細胞周期と老化の停止を促進します (4)。

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SH-SY5Y細胞をRb (4H1) Mouse mAb (緑) を用いて免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察しました。アクチンフィラメントをAlexa Fluor® 555 phalloidin (赤) で染色しています。

細胞周期を進行させるにはRbがリン酸化する必要があるため、リン酸化Rbは老化細胞には見られません。p53と同様に、老化を研究する上でRbとリン酸化Rbの比較解析が最も重要です。

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未処理 (上) あるいはλホスファターゼ処理 (下) したMCF7細胞 (左) およびBT-549細胞 (右) をPhospho-Rb (Ser807/Ser811) (D20B12) XP® Rabbit mAb (緑) を用いて免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察しました。アクチンフィラメントをDY-554 phalloidin (赤) で染色しています。DRAQ5® #4084を用いてDNAを染色し、青の疑似カラーで示しました。

 

#8   γ-H2A.X

γ-H2A.XはDDRパスウェイの古典的なマーカーです。DNA損傷ではH2A.XのSer139がリン酸化されてγ-H2A.Xが形成される迅速で堅牢な応答が起こるため (5)、DDRパスウェイと老化を研究するための強力なツールになります。

gamma-H2A.X

未処理 (左) あるいはUV処理 (右) したパラフィン包埋HT-29細胞をPhospho-Histone H2A.X (Ser139) (20E3) Rabbit mAbを用いて免疫組織化学染色で解析しました。

 

#9   53BP1

53BP1はもともとp53の結合パートナーとして同定され、その転写活性を高めることが示唆されました (6, 7)。53BP1はDNA修復に重要な役割を果たします。また、DNA損傷部位に動員されることが知られており、これらの部位での53BP1の保持はγ-H2A.Xに依存しています (8)。

53BP1

HeLa細胞を53BP1 Antibody (緑) を用いて免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察しました。アクチンフィラメントをAlexa Fluor® 555 phalloidin (赤) で染色しています。

 

#10  Ki-67

何かを検出する最善の方法の1つは、それが何をしていないかを特定することです。Ki-67は、増殖細胞のマーカーとして頻繁に使用される核タンパク質です。G1期から有糸分裂の終わりまでの範囲で検出されますが、細胞がG0休止期にある時には検出されません (9)。老化細胞の特性は細胞周期からの永久的な退出であるため、老化細胞はKi-67を発現しません。

Ki67

パラフィン包埋ヒト乳がんをKi-67 (8D5) Mouse mAbを用いて免疫組織化学染色で解析しました。

 

*プロのヒント!老化細胞のマーカーはたくさんあるのに、なぜ1つだけを選ぶのですか?これらの基本的なマーカーがいくつか含まれているSenescence Marker Antibody Sampler Kitからスタートすることをお勧めします。老化細胞の同定を始めるのに最適です!

 

参考文献:

  1. Hernandez-Segura, A. et al. (2018) Trends in Cell Biol. 28, 6 436-453.
  2. LaPak, K.M. and Burd, C.E. (2014) Mol Cancer Res 12, 167-83.
  3. He, S. and Sharpless, N. (2017) Cell 169, 6, 1000-1011.
  4. Gorgoulis, V. et al. (2019) Cell 179, 4, 813-827.
  5. Sharma, A. et al. (2012) DNA Rep. Prot. 613-626.
  6. Iwabuchi, K. et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 6098-102.
  7. Ward, I.M. et al. (2003) J. Biol. Chem. 278, 19579-82.
  8. Wang, B. et al. (2002) Science 298, 5597, 1435-1438.
  9. Lawless, C. et al. (2010) Exp. Ger. 45, 10 772-778.

 

For Research Use Only. Not For Use In Diagnostic Procedures.

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