より良い免疫組織化学実験のための4つのステップ:ステップ2、3、4


Posted by CSTジャパン on 2017/07/14 18:00:00


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本稿は、IHCプロトコールを最適化するための方法に関する2部構成シリーズの第2部です。第1部ではステップ1として抗原賦活化の原則をご紹介しました。まだご覧になっていない方はこちらをクリックしてください。

ステップ2:一次抗体希釈液

最適化されたIHCプロトコールとは、特異的な結合に適した条件を指します。検出しようとしている標的抗原と抗体の認識するエピトープ間の相互作用に合わせて、抗体希釈液のイオン強度とpHを調節することが不可欠です。TBST (137 mM NaCl, 20 mM Tris, 0.1% Tween-20, pH 7.6) は、こうした目的のためによく用いられます。というのも、TBSTは生理食塩水と等張で、生理学的pH (7.2-7.6) に緩衝化されているからです。これらの条件は、生体内において抗体と抗原が遭遇する環境に似ています。そのため、TBSTは多くの抗体の希釈液としてうまく働きます。SignalStain® Antibody Diluent #8112しかし、すべての抗体に対して有効な訳ではありません。例えば、PLK1 (208G4) Rabbit mAbは、TBSTで希釈した場合はほとんどシグナルが観察されませんでしたが、#8112 SignalStain® Antibody Diluentで希釈するとシグナルが改善しました (B)。

他にも各社から独自の希釈液が販売されており、それぞれの希釈液は緩衝成分や界面活性剤、タンパク質安定剤の組成が異なります。今回のケースでは、こうした希釈液の一つであるSignalStain® Antibody Diluentが、PLK1 (208G4) Rabbit mAbとそのエピトープとの間の相互作用をTBSTよりも良好に保持した訳です。市販されている希釈液はそれぞれで組成が異なるため、研究者はケースバイケースでそれぞれの適合性を検討する必要があります。

ステップ3:検出試薬

検出試薬は、直接、または二次抗体中間体を介して間接的に一次抗体に結合することによって、酵素 (通常、西洋ワサビペルオキシダーゼ (HRP) が使用されます) を特異的エピトープの部位に運びます。HRPの発色基質を添加すると、一次抗体-抗原複合体の部位に沈着物が形成されるため、顕微鏡で観察することができます。

多くの研究室では、ビオチン-ストレプトアビジンの検出系がよく用いられています。この検出系では、二次抗体はビオチン標識されており、SignalStain® Boost IHC Reagent #8114ビオチンに結合するストレプトアビジン分子はHRP標識されています。この方法にはいくつか制限があります。第一に、HRP標識ストレプトアビジンは内在性ビオチンに結合するため、有意なバックグラウンドシグナルが観察されます。抗原賦活化にHIER (ステップ1参照) が用いられる場合、埋め込まれたビオチンが他のエピトープと共に露出されるため、内在性ビオチンは特に問題となり得ます。第二に、発色シグナルの強度は存在する酵素の量 (すなわち、より多くの酵素があれば、より高いシグナルが得られます) によって決定されますが、一次抗体-抗原複合体に結合するHRP分子の数は、複合体中のストレプトアビジン分子数によって制限されます。

ポリマーベースのシステムは、ビオチンベースのシステムの限界を回避することができるため、人気が高まっています。この方法では、デキストランのようなポリマーを介して二次抗体にHRP酵素を結合させます。そのため、一次抗体-抗原部位にビオチン-ストレプトアビジン-HRP複合体を構築する必要性がなくなり、ビオチンベースのバックグラウンドノイズも発生しなくなります。さらに、結合できるHRP分子数がストレプトアビジン系よりも多いため、より少ない一次抗体-抗原結合部位数でもシグナルが得られる、高感度なアッセイ系となるのです。

PLK1 (208G4) Rabbit mAbを、ビオチンベースの検出システムを使用して評価したところ、他の試薬をいくら変更しても十分強いシグナルを観察することはできなかったため、より高感度なポリマーベースの検出方法に切り替えることにしました。その結果、シグナルはかなり強くなったものの、残念ながら、私達の基準を満たすにはまだ十分ではありませんでした (C)。

しかし、私達にはもう一つ奥の手があったのです。

ステップ4:Chromogen (発色基質)

DAB (3,3'-Diaminobenzidine)、AEC (3-amino-9-ethylcarbazole) あるいは Vector® NovaRED™といったChromogenは、検出試薬に結合したHRPと相互作用する基質です。色や強度の異なるいくつかの発色基質が市販されています。実験を計画する際には、対比染色に対して適切なコントラストとなる色で、目的の抗原の検出に適した強度となる発色基質を選択してください。

PLK1 (208G4) Rabbit mAbの検討にあたって、私達はまず、明るい赤色の発色を示すVector® NovaRED™ (Vector Laboratories) を試しました。しかし、NovaRED™ではシグナルが十分でなかったため、より濃い、焦げ茶色の発色を示すDABに切り替えました。DABを特定の希釈液、検出試薬と組み合わせることで十分に強いシグナルを得ることができました (D)。こうして私達は、特定のプロトコール関連製品を用いた推奨プロトコールと共に、PLK1 (208G4) Rabbit mAbをIHC用抗体としても世に送り出すことができたのです。All IHC Samples


今回ご紹介した方法と同様のプロトコールの最適化は、お客様ご自身のIHC研究をより良いものにするのにも役立ちます。IHC実験を成功に導くヒントを知りたい方は、IHCガイド (日本語版) をご請求ください。

 

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