Antibody Validation 101


Posted by CSTジャパン on 2018/07/15 6:00:00


validation

この記事は、CSTの抗体開発部門の研究者であるSusanによるつぶやきです。

人から、「あなたは何をしているの?」と聞かれることがありますが、たいていは「抗体を作っているのよ」と答えるようにしています。しかし、その答えは厳密に言うと正しくはありません。

私の仕事の中で、最もチャレンジングなことは、発売予定の抗体が、目的の標的を検出できる感度と、他のものは何も検出しない特異性を有しているかどうかを判断することにあります。大半のターゲットでは、以下の技術を駆使して、ウェスタンブロッティングによる検証から始めます。

過剰発現させたタンパク質

どのプロジェクトでも、複数の抗体をスクリーニングします。過剰発現したタンパク質を用いて抗体を試験する主な目的は、目的の標的を全く検出しない抗体を除外することにあります。タンパク質を過剰発現させた場合、試験した抗体が反応しないことは稀ですが、シグナル強度を比較することで、抗体の反応性の違いを相対的に判断することもできます。

過剰発現系を用いた研究は頻繁に行われますが、この系を用いた検証だけでは十分ではありません。細胞ライセート中、生細胞の表面、あるいは固定された細胞や組織中のタンパク質の大部分は未同定の混合物ですので、自然環境下におけるタンパク質を研究するには、研究者はクリーンで、検出感度の高い、特異的な抗体を必要とします。

内在性発現系

私達は、細胞内のタンパク質に対して何の処理も行わずに、あるいは、生物学的に関連した方法でそれらを処理することによってタンパク質を検出することができれば、それを内在性発現と呼んでいます。

いくつかの一般的な細胞株ライセートでウェスタンブロットを行い、予想されるサイズのバンドが検出されるか確認するだけでは、なぜいけないのでしょうか?実は、抗体が目的の標的と同じような分子量の別のタンパク質と交差反応する頻度は驚くほど高いので、誤った抗体の選択を避けるために措置を講じる必要があります。

簡単な方法:いくつかのタンパク質は、ある細胞株では発現しており、他の細胞株では発現していないことが知られています。p53はその代表例であり、p53を恒常的に発現する細胞株、欠損する細胞株、発現が誘導される細胞株を試験することができます。

ほとんどのタンパク質はそれほど単純ではなく、発現している、あるいは発現していないことがはっきりとわかっている細胞株は存在しないことが大半です。このような場合、私達は、細胞や組織におけるタンパク質の発現の違いを報告した文献や、DNA損傷またはアポトーシスなどのプロセスを刺激する化学物質による発現誘導を報告した文献を検索します。私達はまた、相対的な遺伝子発現量を掲載している公共のデータベースの情報も確認します。これらのデータベースでは、mRNAの相対存在量を定量化しているので、翻訳されたタンパク質の相対存在量とは、相関するかもしれませんし、相関しないかもしれません。私達は、抗体が、目的の標的を認識するかしないのかについて、もっとも説得力のある証拠を見つけ出すために、これらの技術の全てを駆使します。

私達は、トランスフェクトされたタンパク質を用いた実験結果と、内在性タンパク質を用いた実験結果を比較します。トランスフェクトされたタンパク質に対して強い反応性を示した抗体は、内在性発現系でも強いはずです。

ノックアウト

どの細胞株が標的を発現するかがわかれば、ノックアウトを利用することができます。残念ながら、常にノックアウトシステムを使用できるわけではありません。例えば、多くのタンパク質は細胞の生存または増殖に必要であるため、ノックアウトすると細胞は生き残ることができなくなります。さらに、いくつかの細胞株は、ノックアウト試薬で効率的にトランスフェクションできないため、目的の標的が「トランスフェクションが困難な」細胞株でのみ発現している場合、抗体の検証にノックアウトツールを使用することができない場合があります。

こうした経緯もあり、ノックアウトによって検証される抗体の割合はごくわずかですが、ノックアウトが入手可能な場合には強力なツールとなります。

多くの抗体が失敗

こうした厳格な検証プロセスゆえ、私達は発売した抗体数以上に多くの抗体の開発に失敗しています。プロジェクトによっては振り出しに戻る場合もあります。重要なことは、失敗が私達の側で留まることです。お客様の手に渡り、研究論文やポスター発表、口頭発表に影響が及ぶことは決してありません。

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