より良い免疫組織化学実験のための4つのステップ:ステップ1 − 抗原賦活化


Posted by CSTジャパン on 2017/07/01 6:00:00


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現在は「花金」よりも「プレミアムフライデー」と言った方が良いかもしれませんが、金曜の夜ともなれば、外に出て友人と会う人も多いでしょう。しかし、あなたは、そうする代わりに顕微鏡のある暗室に籠もっています。その時は、ラボで夕方を過ごすのも悪くないなと思っていたのです。なぜなら、この免疫組織化学 (IHC) のデータは、ちっぽけかもしれないけれども、この宇宙の重要な謎を解き明かしてくれると確信していたからです。しかし、あなたは今、全宇宙とすべての人間を呪い、座り込んでしまいました。目を凝らして顕微鏡を覗き込んでも、不明瞭で曖昧な画像しか見えません。そうです。実験は失敗に終わったのです。

さて、次はどうしましょう?私だったら、その日はスライドをゴミ箱に投げ捨てて、友人と遊びに出かけてしまいます。そして、次の日になってから、実験について考え直すことでしょう。

さて、どこから始めましょう?特異性と親和性の高い一次抗体を使用することが、IHC成功の鍵であることはわかっています。しかし、実験系のpHやイオン強度を調整するプロトコール関連試薬 (バッファーなど) も同じくらい重要であることをご存知でしたか?これらの試薬は一次抗体のエピトープへの結合に影響を及ぼし、アッセイの結果を大きく変えることがあります。

アッセイに最適な試薬を選ぶのをお手伝いするため、今回と次回のブログでは、プロトコール関連試薬がIHCの結果にどのように影響を及ぼすかをとりあげます。一例として、#4513 PLK1 (208G4) Rabbit mAbのプロトコールを最適化した時の経験を紹介しましょう。

初めてこの抗体を試験した時、標準的なプロトコールではシグナルは観察されませんでした。そこからプロトコール関連試薬を一つずつ変更することにより、一次抗体の希釈率を変えることなく、強くクリアなシグナルが観察されるようになりました。

ステップ1:抗原賦活化

ホルムアルデヒドのような架橋固定剤は、組織構造の完全性を保持するのに役立つため、IHCのサンプル調製によく用いられます。しかし、残念ながら、こうした固定剤は抗体が認識するエピトープを覆い隠してしまうことがあります。

固定によってマスクされたエピトープを露出させるにはいくつかの方法があり、プロテイナーゼKのような酵素消化による抗原賦活化や、熱により架橋構造を取り除いてタンパク質構造を戻す熱誘導性エピトープ回復法 (HIER) が知られています。いずれの方法も、エピトープを露出させて一次抗体がアクセスできるようにし、IHCによる染色を可能にします。

IHC Antigen Retrieval

CSTで最も使われる抗原賦活化方法であるHIERについて、詳しく説明しましょう。HIERではバッファー中に組織切片を浸漬しながら加熱、冷却します。バッファーのpHには、サンプル温度が室温まで戻った後に、タンパク質構造が元に戻るのを助ける働きがあるため、抗体-エピトープの相互作用に適したpHに設定しなければなりません。弱酸性のクエン酸バッファー (pH 6.0) は様々なエピトープの露出に有効ですが、いくつかのエピトープはEDTA (pH 8.0) のようなアルカリ性のバッファーを必要とすることもあります。

私達は、最も多くのエピトープに有効なクエン酸バッファーによるHIERを採用し、PLK1 (208G4) Rabbit mAbのプロトコールを最適化することにしました。この条件を固定し、他のプロトコール関連試薬を一つずつ変更していきました。

ステップ2に続く

 


実験を成功に導くヒントが満載のIHCガイド (日本語版) もぜひご覧ください。

 

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