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がんの特性:増殖抑制の回避


Posted by Cell Signaling Technology Japan on 2019/12/15 6:00:00


がん細胞は、増殖を停止し得る抑制シグナルに抵抗性を示します。これらの主要なパスウェイにはオートファジーデスレセプターシグナル伝達 (アポトーシス) があり、どちらも最終的に細胞死を誘導して腫瘍の増殖を抑えることができます。

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オートファジーは動的な細胞リサイクルシステムであり、細胞質の内容物や異常なタンパク質凝集体、余剰あるいは損傷したオルガネラを分解します。これによって生体分子の基本構成単位 (アミノ酸など) を確保し、新たな細胞成分を作り出すことができるようになります。したがって、オートファジーは生存を促進するプロセスです。がんはオートファジーを促進して微小環境ストレスを乗り切り、増殖や悪性度を増加させることができます。オートファジーのプロセスにはオートファゴソームの形成が含まれ、これがリソソームと融合してオートファゴリソソームを形成します。このプロセスはmTOR/AMPK/PI3K/MAPKパスウェイによって制御されます。

興味深いタンパク質として次のようなものが挙げられます。

Atg16L1は、オートファゴゾームの形成に必要な巨大複合体の形成に重要な役割を果たします。オートファゴソームは細胞質成分をリソソームに搬送する構造体です。

Sequestosome 1 (SQSTM1、p62) はユビキチン結合タンパク質であり、いくつかのシグナル伝達タンパク質の足場として機能し、プロテアソームやリソソームによるタンパク質分解を引き起こします。

Autophagy marker Light Chain 3 (LC3) は、オートファジー小胞結合型に変化するタンパク質です。オートファゴソーム上のLC3の存在や、LC3からLC3-IIへの変化がオートファジーの指標として利用されています。

Atg1/ULK1は、オートファジーを制御する複数のシグナルの収束点として機能することができます。

デスレセプターの活性化によりアポトーシス (プログラムされた細胞死) が誘導されます。

興味深いタンパク質として次のようなものが挙げられます。

Caspase-8を活性化し、その活性型フラグメントを切り出すいくつかの受容体がアポトーシスを誘導します。活性型Caspase-8フラグメントは下流のカスパーゼを切断して活性化します。

RIPキナーゼはNF-κBの活性化を介して生存の促進や炎症反応を引き起こす細胞ストレスの重要な制御分子であり、アポトーシスの誘導経路にも関与しています。

Bcl-2は、様々なアポトーシス誘導刺激に対してミトコンドリアからのシトクロムcの放出を抑えることで細胞の生存維持を行います。

増殖抑制の回避に関与するパスウェイやタンパク質についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのリンクからパスウェイ図をご確認ください。

-オートファジー
-デスレセプターシグナル伝達 (アポトーシス)

がんの特性 (Hallmarks of cancer) はRobert Weinberg博士とDouglas Hanahan博士によって提唱され、2000年のCell誌に発表されたものです1。彼らは、複雑ながんの性質を、より小さな特性 (増殖シグナルの維持、増殖抑制の回避、無秩序な複製による不死化、浸潤能および転移能の活性化、血管新生の誘導、細胞死への抵抗性) に細分化して捉えることを提案しています。今回の記事では、これらの特性の一部について記載しました。本シリーズの他の記事では、今回触れなかった他の特性についても触れていきます。

1) Hanahan D, Weinberg RA (January 2000). "The Hallmarks of Cancer". Cell. 100 (1): 57–70. doi:10.1016/S0092-8674(00)81683-9
2) Hanahan D, Weinberg RA (March 2011). "Hallmarks of Cancer: the next generation". Cell. 144 (5):646-74. doi: 10.1016/j.cell.2011.02.013.

 

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