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免疫:自然免疫システムはどのように機能するのでしょうか?


Posted by Cell Signaling Technology Japan on 2020/06/15 6:00:00


以前のブログで触れたように、自然免疫システムは私たちの体の免疫防御にて重要な部分を占める、侵入する微生物や外来タンパク質に対する一般的な防御応答です。自然免疫システムは獲得免疫システムよりも進化的に古く、植物、動物、および昆虫で見られる保存されたメカニズムを持ちますが、特定の病原体に対し特化されてはいません。

私たちは生まれた時すでにほぼ完全に発達した自然免疫系を持っています。これは、年齢を重ね新しい感染症を克服するにつれて後々発達し成長する獲得免疫系とは対照的です。

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自然免疫系は皮膚、粘膜、髪、および消化管の表面を含む上皮表面などの物理的なバリアを利用して防御の最前線として機能します。単純な咳やくしゃみも潜在的に有害な細菌を追い出すのに役立つ応答で、これらはすべて鼻毛のくすぐりや気管を覆う繊毛の刺激によって引き起こされます。しかし、上皮のバリアが破られると、自然免疫系の他の構成要素が病原体を検出し攻撃するようになります。 

血流に入った病原体は最初に、免疫細胞の存在なしに補体系と呼ばれるメカニズムを介して検出されます。このシステムは自然免疫応答と獲得免疫応答の両方と連携して免疫細胞を感染部位に動員します。補体系は基本的に、肝臓で作られ血流を通って自由に流れるいくつかのタイプの不活性タンパク質から構成されています。それらが病原体に出会うと細菌や寄生虫の表面に結合し、外部からの脅威としての目印になります。次に、関連する補体タンパク質と酵素のカスケードが活性化され、病原体の目印としてだけでなく、膜攻撃複合体を形成して細菌に穴を開け溶解したり、細菌をタンパク質で覆って免疫食細胞が飲み込むのにより目立つようにしたりします。補体タンパク質が病原体を覆うこの過程はオプソニン化と呼ばれます。

自然免疫応答に積極的に関与している細胞の多くは、潜在的に脅威となる侵入者を探して血液や組織を巡回する食細胞です。病原体が見つかると、細胞膜上の遺伝的にコードされたパターン認識受容体 (PRR) によって侵入者の分子を異物として識別します。これらパターン認識受容体は微生物の細胞表面や細胞壁の構成成分を対象としていますが、メチル化されていないCpGモチーフを含む細菌のDNAも自然免疫応答を誘導します。これらの細胞は活性化されると、数分から数時間以内の急速な免疫応答につながるカスケードを開始します。

特定の免疫細胞が感染部位で起こす最初のステップの1つは、細胞外液へのサイトカインの分泌です。インターロイキン (IL) や腫瘍壊死因子 (TNF) などのこれらのサイトカインは、浸潤部位に仲間の白血球を引き寄せる化学物質です。応答する免疫細胞もまた、炎症応答を開始する他の化学物質を放出することがあります。これらのシグナルは血管拡張を引き起こして患部をより多くの血液が流れるようにし、病原体を除去するために免疫細胞の動員を促進します。

自然免疫系の細胞

白血球には様々な種類があり、感染に対応するため常に体内を巡回しています。いくつかの白血球は獲得免疫系の一部ですが、多くは自然免疫系で機能しています。これらの細胞はいったい何で、どこから来たのでしょう?

造血あるいは血液細胞の分化において、骨髄にて骨髄系共通前駆細胞 (CMP) から骨髄系系譜が生じ、これには自然免疫応答を構成するほとんどの細胞が含まれます。

CMP細胞は単球の前駆細胞であり、最終的にはマクロファージや樹状細胞、さらには顆粒球系系譜の細胞に分化します。顆粒球は細胞質内に目に見える顆粒があることからこう分類され、肥満細胞、好中球、好酸球、および好塩基球が含まれます。このように、病原体を探して私たちの体内をパトロールする食細胞の大半は、共通系譜であるCMP細胞に由来します。ただし、自然免疫応答のもう1つの重要なプレーヤーである細胞傷害性ナチュラルキラー (NK) 細胞はリンパ系共通前駆細胞 (CLP) 細胞に由来します。

これら異なるタイプの細胞は、すべて自然免疫応答において独自のニッチを持っています。一部はマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞 (APC) であり、T細胞に向け表面に病原体の識別分子を提示して適応免疫応答を活性化します。これらの白血球の中には肥満細胞のように組織や粘膜にしか存在しないものもありますが、組織に移動する必要があるまで血液中を循環するものもあります。好中球は最初に反応する細胞としての傾向があり細菌や真菌の攻撃や抑制を専門としますが、好塩基球はそれほど一般的ではなく寄生虫に対する防御に特化しています。ナチュラルキラー細胞は感染に迅速に応答しウイルスに感染した細胞を効率的に死滅させます。また、がん性の細胞を検出して破壊する固有の能力を持つこともユニークです。

これら自然免疫系の細胞が病原体の侵入を迅速に処理することができない場合は、獲得免疫系が活性化されて脅威の無力化に向かいます。次回の免疫ブログシリーズでは、獲得免疫システムおよびT細胞とB細胞がどのように働くかについて取り上げます。

免疫学および自然免疫応答と獲得免疫応答の詳細については、しばらくお待ちください。

参考文献:

Immunity: The Immune Response in Infectious and Inflammatory Disease 
By Anthony L. DeFranco, Richard M. Locksley, Miranda Robertson

https://opentextbc.ca/biology/chapter/23-1-innate-immune-response/

Innate and Adaptive Immune Memory: an Evolutionary Continuum in the Host’s Response to Pathogens

Mihai G. Netea, Andreas Schlitzer, Katarzyna Placek, Leo A.B. Joosten, and Joachim L. Schultze

Immunobiology: The Immune System in Health and Disease. 5th edition.
Janeway CA Jr, Travers P, Walport M, et al. New York: Garland Science; 2001.

 

Topics: Immunology

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