Responsible Science Podcast:エピソード3 – 産業


Posted by CSTジャパン on 2019/03/01 6:00:00


再現性の危機が叫ばれる中、「責任ある科学 (Responsible Science)」が何を意味するのかを語る5回シリーズのポッドキャストを、サイエンス誌「Science: Disrupt」とのコラボレーションでお送りします。

Episode 1 Responsible Science

エピソード3では、科学産業の世界を深く掘り下げたいと思います。研究室の外の現実世界に科学の恩恵をもたらすとともに利益も上げている会社について取り上げます。

科学産業における2人のリーダーとの対談です。

  • Josh Ghaim, Johnson & Johnson社Consumer R&D部門CTO
  • Roby Polakiewicz, Cell Signaling Technology社CSO

はじめに、情報の共有やアカデミアへの貢献といった観点で企業がいかに責務を負うとともに商業的にも成功できるかについて話し合いました。

Josh:「透明性が高ければ高いほど、より良い結果を得ることができます。例を挙げますと、数年前、私たちは全ての臨床データを公開することを決めました。これはJ&Jグループ内の製薬会社 (ヤンセンファーマ) から始まり、現在では他の部門でも行なっています。私たちは実に多くの臨床試験を行っていますが、同業他社がそのデータを公開することは稀です。他社も臨床データを公開していると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、全てのデータが公開されているわけではありません。今回、私たちはより透明性を高める必要があると判断しました。公開された臨床データのいくつかが新たな発見につながるかどうかはわかりませんが、あなたもその責任を負うことができるのです。」

また、異なるモチベーションがどのように科学会のさまざまなステークホルダーを動かすかについて話しました。

Roby:「私たちのモチベーションは非常に異なっています。アカデミアの研究室の皆さんは知名度の高いジャーナルで論文を出版して、教授や准教授といったアカデミックポジションを得ることを目指しています。製薬業界の研究者は自身の担当するプロジェクトを進めることで、患者を助けるだけでなく、昇進も目指しています。ジャーナルはできる限り最良の論文を出版しようとしています。もちろん彼らには金銭的なモチベーションもあります。私たちは民間企業であり、アカデミア、製薬企業、ジャーナルなどと同様のモチベーションを持ちつつ、できる限り科学を推進しています。しかし、私たちは商業的な成功も目指しています。関心事は多少分かれているものの、私たち全員が同じフィールドにおり、全員が科学を正しい方向に推進しようとしています。」

また、活発なディスカッションは、どのような科学と商業化を重視するのが良いのか、公的機関と民間組織がどのように相乗効果を上げるのか、にも集中していました。Joshは良いビジネスにつながり、周りの世界にも利益をもたらすことができる、強力な見解を有していました。

「オーファンドラックの可能性についてお話ししましょう。私たちは公的機関と民間企業の間で度々不公平な取引をします。ある企業にとっては、オーファンドラッグを上市するのにかかるXドルは高く感じるかもしれません。資金に余裕のある人がアクセスできるようにしても、購入する人がいなければ、その化合物は捨て去られることになってしまいます。こうした議論は進行中ですが、機会創出に繋がり得るものです。バランスをとりながら官民の関係を作っていくことが大切です。産業界がすべて利益を上げようとしているわけではなく、逆に政府や公的機関が全て利益を考えていないわけでもありません。エボラ出血熱の事例では、J&JやGSKなどの企業が先陣を切りました。私たちはこの件で一切の利益を上げていませんが、それは正しいことであったと確信しています。そして、両社と公的機関の協力により記録的な速さで臨床試験にまで進むという素晴らしい成果を挙げました。これは公的機関と民間企業という異なる業界が協力した素晴らしい事例です。競合他社同士が協力して迅速に結果を出せたことは非常に印象的でした。そして、残る課題は、危機が起こるのを拱いているのではなく、最大の課題に対処するために、どのようにして継続的にモデル化するかでしょう。」

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次回予告:できる限りオープンかつ責任感を持って科学や研究のプロセスを伝えるために熱心に働く人たちに問いかけます。科学の世界で起こっていることを議論、レポートし、最終的に世の中に伝わるようにするにはどうしたら良いでしょうか。

 

エピソード1:イントロダクションを見る
エピソード2:撹乱者を見る

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