免疫蛍光染色の成功のために:固定と透過化処理


Posted by CSTジャパン on 2017/12/15 6:00:00


本記事はIFシリーズ、4部構成の第3回です。「抗体の検証の重要性」「実験のコントロール」もご覧ください。

抗体のパフォーマンスは、信頼できる免疫蛍光 (IF) の結果が得られるかどうかを左右する決定的な因子です。同じく、生体サンプル (実験で使用する細胞または組織) の準備も重要です。サンプルの固定処理と透過化処理は、実験の成否を決める重要なステップです。理想的な固定液を用いれば、クロスリンクと内在性酵素の阻害によって自己融解による分解を迅速に停止させ、「生きていた時のような」画像を得ることができます。本記事では、最高のパフォーマンスを発揮するプロトコールが抗体によって異なる例をご紹介します。


CSTは、固定処理と透過化処理を様々な条件で行い、各抗体について最適なシグナルが得られる組み合わせを決定していますので、お客様自身で検討いただく必要がありません。

固定液の選択

ホルムアルデヒドやホルマリン (溶解したホルムアルデヒドと低濃度メタノールの混合物)、グルタルアルデヒドなどのアルデヒドベースの固定液が最もよく使われています。CSTは、多くの抗体で4%ホルムアルデヒド固定液の使用を推奨しています (IFスタンダードプロトコール)。アルデヒドは、細胞のタンパク質に反応してクロスリンクすることでサンプルを安定化し、強固にします。アルデヒドは細胞膜を通過することができ、細胞内の可溶性タンパク質を固定する性能がアルコールより優れていますが、アルデヒドのクロスリンクによって抗原性が失われてしまう標的タンパク質もあります。

メタノールに代表される脱水/変性固定液は、細胞の高分子の周りの水分を除去することで、生体内で高分子を変性、凝集させます。標的タンパク質の変性により、通常は埋没しているエピトープが外側に現れることがあるため、このアプローチは一部の抗体に対して有効な方法となっています。ただし、脱水固定液は、可溶性の標的タンパク質や修飾状態特異的抗体 (リン酸化抗体など) にはあまり適していません。最適な固定方法は製品のデータシートをご参照ください。

HeLa細胞を異なる固定液で固定した比較実験により、#4546 Keratin 8/18 (C51) Mouse mAbにはメタノール固定が最適であることがわかります。一方、#5318 AIF (D39D2) XP® Rabbit mAbにはホルムアルデヒド固定が最適です。

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ホルムアルデヒド固定 (左) またはメタノール固定 (右) 後に#4546 Keratin 8/18 (C51) Mouse mAb (緑、上図) または#5318 AIF (D39D2) XP® Rabbit mAb (緑、下図) で染色したHeLa細胞の共焦点IF解析。赤 = #4087 Propidium Iodide (PI)/RNase Staining Solution。

多重染色の際の固定/透過化条件

それぞれ異なるプロトコール (IF-スタンダード vs. IF-メタノール固定 vs. IF-メタノール透過化処理)を必要とする抗体を用いて多重染色を実施する場合は、どの抗体にとって理想的な条件とするか、抗体に優先順位を付ける必要があります。小規模な実験によって様々なプロトコールを比較した後に、実験規模を拡大してください。

界面活性剤またはアルコールの選択

アルデヒドベースのクロスリンク法で固定する場合は、細胞膜はインタクトなままのため、抗体は細胞内の標的タンパク質にアクセスできません。したがって、抗体が細胞外エピトープを認識する場合を除いて、IF-IC、IF-Fいずれの場合もクロスリンク法による固定後に透過化処理を行う必要があります。CSTのIF-スタンダードプロトコールでは、固定後に、ブロッキングと同時にTritonTM X-100による透過化処理を行う方法を採用しています。TritonTM X-100ならびにNP-40、TWEEN®、 Saponin、Digitonin、DOTMACといった界面活性剤は、細胞膜から様々な分子を除去して「小孔」を開け、細胞内への抗体のアクセスを可能にします。

その他に、エタノールやメタノールなどのアルコールを用いた透過化処理を固定後に行う方法もあります。これは、クロスリンク固定液による迅速固定と、アルコールによる変性処理を組み合わせた方法です。この組み合わせにより、特定の標的タンパク質のシグナル、特に細胞小器官または細胞骨格に関連するシグナルが改善されます。下図のように、メタノール透過化処理によって染色性が改善する抗体もいくつかあります。 

#3501 PDI (C81H6) Rabbit mAbと#3700 β-Actin (8H10D10) Mouse mAbにはメタノール透過化処理が最適:NIH/3T3細胞の共焦点IF解析。0.3% TritonTM X-100 (左) またはメタノール (右) で透過化処理し、#3501 (緑) および#3700 (赤)で染色。疑似カラー青 = #4084 DRAQ5® (DNA蛍光染色試薬)。

固定処理と同様に、最適な透過化処理方法も抗体の種類によって異なります。各製品の推奨方法は、製品のデータシートをご参照ください。

IFを成功させるためのヒントや、本記事でご紹介したプロトコールが掲載されたIFガイド (日本語版) もご参照ください。

IFガイド (日本語版) をダウンロードする

IFガイドを既にお持ちの方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

Cell Signaling Technology, CST, XPはCell Signaling Technology, Inc.の商標です。
TritonはThe Dow Chemical Companyの登録商標です。
TweenはICI Americas, Inc.の登録商標です。
DRAQ5はBiostatus Limited.の登録商標です。

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