免疫蛍光染色の成功のために:実験のコントロール


Posted by CSTジャパン on 2017/11/01 9:00:00


何ヶ月間にも及ぶ実験を経て免疫蛍光染色 (IF) でテストする段階にたどり着き、抗体を選んでパイロットIF実験を行い (抗体の検証の重要性をご覧ください)、標的タンパク質の局在が妥当であることを確かめました。しかし、得られたIFデータが実際の生物学的現象を表していることを、どのように確信することができるでしょうか。本ブログでは、2つの実験コントロールをご紹介します。


実験における変動条件がサンプルの違いのみであること、また、試薬が (抗体を含めて) 予想通りに反応していることを確認するには、適切なコントロールを用意することが重要です。例えば、薬剤処理や細胞外リガンドの添加によりシグナル経路の活性を変化させたサンプルや、遺伝子発現レベルの差が知られているサンプル (ノックアウト、siRNAなど) がコントロールとして用いられます。一般的に、変動サンプルとコントロールの実験は並行して行われ、例えば、固定以降のステップは同時に実施されます。使用するコントロールは、実験の種類によって決まります。以下の項では、CSTがIF-ICにおける抗体のパフォーマンスの評価に使用しているコントロールをご紹介します。それらの一部は、お使いの細胞種でも、染色の特異性確認に役立つかもしれません。

ノックアウト細胞株による特異性の検証

複数のアイソフォームをもつ標的タンパク質を研究している場合は、ノックアウト細胞株を用いたコントロールが有用です。例えば、グリコーゲン合成酵素キナーゼ (GSK-3) のGSK-3αおよびGSK-3βは、それぞれ別のセリン残基で制御されています。IFの実験をする際には、お使いの抗体が認識するアイソフォームが1つなのか、両方なのか、それともどちらのアイソフォームも認識しないのか、知っておきたいと思われるでしょう。こうしたことは、標的タンパク質の発現が陽性か陰性かがわかっている細胞を使うことで確認することができます。野生型 (GSK-3β陽性)、GSK-3αノックアウト型 (GSK-3β陽性)、およびGSK-3βノックアウト型 (GSK-3β陰性) のマウス胚繊維芽細胞 (MEF) の使用により、#12456 GSK-3β (D5C5Z) XP® Rabbit mAbが、IFにおいてβアイソフォームのみを特異的に認識することがわかります。

WB解析およびIF解析による#12456 GSK-3β (D5C5Z) XP® Rabbit mAbのGSK-3βに対する特異性の検証。野生型MEF、GSK-3α (-/-) MEF、およびGSK-3β (-/-) MEFのライセートのWB解析 (左):#12456 (上段) および#5676 GSK-3α/β (D75D3) XP® Rabbit mAb (下段) を使用。野生型MEF (上段)、GSK-3α (-/-) MEF (中央)、GSK-3β (-/-) MEF (下段) の共焦点IF解析 (右):#12456 (緑) で染色。アクチンフィラメントは#13054 DyLightTM 554 Phalloidinで染色。疑似カラー青 = #4084 DRAQ5® (DNA蛍光染色試薬)。


リン酸化状態の調節による特異性の確認

リン酸化、アセチル化、ユビキチン化、開裂などといった翻訳後修飾 (PTM) に対して特異的な抗体により、標的タンパク質の生物学的な機能についての重要な情報が得られます。PTMの変化が、発現量や細胞内局在の変化と関連していることもあります。PTM特異的抗体の特異性は、標的タンパク質の活性化状態を調節する酵素、低分子アゴニストや低分子阻害剤を併用することで確認できます。

摂動実験による抗体のPTM特異性の検証。HT-1080細胞の共焦点IF解析:未処理 (左)、プロテアーゼMG-132単独処理 (中央)、MG-132処理に続いてλ-フォスファターゼ処理 (右)。#3300 Phospho-Cyclin D1 (Thr286) (D29B3) XP® Rabbit mAb (緑) で染色。アクチンフィラメントは#13054 DyLightTM 554 Phalloidinで染色。


IFを成功させるためのヒントやプロトコールの重要な9つのステッを掲載したIFガイド (日本語版) も併せてご参照ください。

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IFガイドを既にお持ちの方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

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