LAB EXPECTATIONS

SARS-CoV-2危機における研究用抗体の特異性と再現性の重要性


Posted by Cell Signaling Technology Japan on 2020/06/01 6:00:00


この危機において世界中の医療提供者と研究者は、SARS-CoV-2の検査法を開発すべく競っています。集団における暴露と免疫獲得の可能性を追跡する検査の戦略として、ウイルスの遺伝物質の存在を検査することにより活動性感染を診断するPCR法と、血清学的試験とも呼ばれる血液を用いた抗体検査キットの使用があります (1,2,3)。科学コミュニティは、これらの診断ツールを使用してSARS-CoV-2パンデミックの規模と軌跡をより理解しようとしています。

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しかし、オックスフォード大学医学部のJohn Bell教授によると、英国やスペインを含む国際的な研究コミュニティの科学者は、評価のために提供された多数の血清抗体検査キットが「うまく機能しなかった」ことを示しました (1)。さらに、偽陰性や偽陽性が多すぎてウイルスへの曝露や免疫獲得の可能性など疫学的なデータの表現が不正確になるとも述べました (1)。米国では、米国科学アカデミーの新興感染症および21世紀衛生脅威に関する常設委員会のメンバーが、特定の抗体の血清検査の信頼性と可用性に対する懸念を表明しました (4)。米国科学アカデミーの科学者はホワイトハウスへの手紙で、現在の抗体検査の結果は、「厳格な管理がなされ性能特性が特定されるまで疑わしいと見なされるべきである」と記しています (4)。

科学コミュニティはウイルスの診断法および治療法を開発するため全力を挙げており、アッセイおよび試薬は、十分に特性が明らかにされ、検証され、一貫性と再現性のある結果をもたらすことが、これまで以上に重要になっています。Cell Signaling Technology (CST) は、世界中の感染症研究者がウイルスの挙動、その阻害法、および治療法を解明するのに役立つ重要な試薬 (SARS-CoV-2に関連する製品を含む)、キット、およびサービスを提供しています。CSTの研究者は、SARS-CoV-2の作用メカニズムを理解するだけでなく、将来のワクチン開発で使用されるであろうウイルスの分子機構を理解する上で重要な知見を提供するため、共同研究にも積極的に取り組んでいます。

SARS-CoV-2研究は緊急かつ重要であり、CSTでも研究用抗体の検証と再現性の必要性が最も重要であることを理解しています。あいまいな結果をもたらす試薬や、ましてや特異性が低いがために失敗する実験に費やす時間はありません。品質、特異性、一貫性を確保するため、CSTはAntibody Validation (Uhlen, M., Bandrowski, A., Carr, S. et al. A proposal for validation of antibodies. Nat Methods 13, 823–827 (2016) に基づく) に準拠しています。

CSTで開発されたすべての抗体は、社内で個々の抗体の標的とニーズに応じてカスタマイズされたアプリケーションごとの厳格な検証試験を受けます。CSTのアプローチは常に、自社で製品を製造し (95%以上を自社で製造)、自社で厳格に検証することです。単一のアッセイだけでは有効性を判断できないため、検証試験を以下の任意の組み合わせにより実施しています。

1)バイナリーモデル:陽性発現細胞株と陰性発現細胞株、野生型vs遺伝子あるいはCRISPRベースのノックアウトのパネルの解析

2)幅広い発現:標的の発現レベルが既知 (高発現vs低発現)、siRNAノックアウト、ヘテロ接合ノックアウトの細胞株からなる大規模パネルの解析

3)オルトゴナルデータ:質量分析など非抗体ベースのアッセイによる検証

4)複数の抗体:IP、ChIP、ChIP-seqなど濃縮ベースのアプリケーションを使用して同じ標的に結合する異なる抗体により観察されたシグナルを比較、あるいは、免疫染色のアプリケーションを使用して同一の染色パターンまたは標的の局在性を実証

5)異種発現:ネイティブな (あるいは変異させた) 標的タンパク質を異種発現させた細胞株での評価

6)相補的アッセイ:競合ELISA、ペプチドドットブロット、タンパク質アレイ、あるいは修飾特異性除去を確認するための抗原ペプチドによるブロッキングを使用したシグナル特異性の確認

さらにCSTは、リコンビナントモノクローナル抗体の幅広い製品を提供しています。これらはロット間の一貫性が極めて高く、研究者や医療科学者にとって重要な要素である安定した供給が可能です。

いつもながら、研究や実験の結果と質は、有意義でインパクトのある知見を引き出すインプットに依存します。世界的な危機においては、毎回そして何度でも期待通りに機能すると信頼できる試薬を使用することが重要です。SARS-CoV-2によるウイルス性疾患の生物学的メカニズムをより速くより確実に解明するのに役立つ、十分に検証された抗体を使用して研究を進めてください。ここCSTでは、健康危機との戦いに立ち向かうためにアッセイと治療薬の研究と開発を加速し前進させるのを助ける、という同じ目標を社員が共有しています。

参考文献

  1. https://www.bloomberg.com/amp/news/articles/2020-04-07/new-test-hopes-dashed-as-u-k-finds-antibody-kits-don-t-deliver
  2. https://www.genomeweb.com/molecular-diagnostics/congressional-leaders-seek-coronavirus-test-information-fda#.XpiS3lNKhTY
  3. https://www.cnn.com/2020/04/14/health/antibody-test-explainer/index.html
  4. https://www.cnn.com/2020/04/14/health/coronavirus-antibody-tests-scientists/index.html

 

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