解析したいタンパク質の転写方法はお決まりですか?- ウェット式 vs. セミドライ式


Posted by CSTジャパン on 2018/06/15 6:00:00


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ウェスタンブロッティングで目的のタンパク質を特定しようと、ワクワクしながら実験しています。ライセート中のタンパク質のSDS-PAGEによる分離も終わり、次はゲルからメンブレンにタンパク質を転写するステップです。ここでふと、疑問に思うかもしれません。「ウェット式、それともセミドライ式、どちらが良いのだろう?」、と。あるいは、ウェット式転写とセミドライ式転写のそれぞれの長所と短所を踏まえ、次にどうすべきかすでにご存知かもしれません。

従来、研究室の知恵として、ウェット (タンク) 式転写は、ゲルからメンブレンへの転写効率が高いといわれてきました。その一方で、セミドライ式転写は、より速く、少ないバッファー量で実験が完了するという特徴を有しています。ウェット式転写は、メンブレンが乾燥して実験を失敗するリスクが少なく、特に分子量の大きなタンパク質に推奨される方法です。また、セミドライ式転写では、サンドイッチを正電極と負電極の間に直接配置するのに対し、ウェット式転写では、サンドイッチを正電極と負電極との間に配置し、トランスファーバッファー内に浸漬します。

セミドライ式転写:ろ紙 > ゲル > メンブレン > ろ紙 (全てトランスファーバッファーで湿らせる)

ウェット式転写:スポンジ > ろ紙 > ゲル > メンブレン > ろ紙 > スポンジ

分子量の大きなタンパク質はゲルからメンブレンへゆっくりと転写されるため、目的のタンパク質のサイズに応じて転写時間の延長を検討すると良いでしょう。この時、トランスファーバッファー中のメタノール濃度を5-10%に下げることをお勧めします。

ウェット式転写とセミドライ式転写の選択において、一番大きな影響を与えるのは、使用するメンブレンの種類です。多くの場合、ニトロセルロースとPVDFに違いはないと考えられますが、留意すべき点がいくつかあります。PVDFは疎水性相互作用を介してタンパク質に結合するのに対して、ニトロセルロースは疎水性相互作用と静電相互作用の両者を介してタンパク質に結合します。ポアサイズは、転写効率に影響を及ぼすもうひとつの重要な因子であり、どちらのメンブレンも、研究者のニーズに対応するために様々なポアサイズのメンブレンが販売されています。一部のメーカーは、ブロッキング前に、転写後のメンブレンを風乾してメタノールで再湿潤させることを推奨しています。この工程には、変性タンパク質とメンブレン間の水分を除去することで、転写されたタンパク質のメンブレンへの結合を強固にし、バックグラウンドを低減させる効果があります。また、特殊で困難な状況下では、タンパク質がメンブレン上に維持されるように、パラホルムアルデヒドによるメンブレンの固定が必要となることもあります (Preterre et al)。

以上のことから、最高レベルの転写が必要な方にとっては、ニトロセルロースメンブレンへのウェット式転写が最善の方法と言えるでしょう。しかし、スピードと使いやすさを考慮すると、セミドライ式転写は、多少の条件検討は必要になるかもしれませんが、一般的な実験目的においては十分に遜色ない結果が得られる傾向にあります。多くの場合、私たちは、研究室でどの装置が利用可能かに合わせて、目的のタンパク質の転写条件を最適化することができます。

いずれにせよ、ウェット式転写とセミドライ式転写のどちらが良いか思索に耽っている間に、タンパク質がゲルから流れ出てしまわないようにお気をつけください!

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