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がんの特性:浸潤能および転移能の活性化


Posted by Cell Signaling Technology Japan on 2020/02/01 6:00:00


がんは局所組織を浸潤して遠方へ拡がり、この過程で浸潤と転移という、似て非なるプロセスを経ます。

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組織浸潤は、腫瘍細胞が近傍の環境に拡散するメカニズムです。転移は腫瘍細胞が原発腫瘍から離脱して別の位置に移動し、新たな環境で新たな二次性腫瘍を形成するプロセスのことを指します。これらの複雑なプロセスはどちらも、接着結合やシグナル伝達パスウェイなどの既存の細胞機構を利用します。

接着結合は動的な構造で関連タンパク質が隣接細胞の対応分子に結合した場合に形成され、強化と拡張、分解、再形成が起こります。接着結合には複数の機能があり、細胞-細胞間接着の形成と安定化、アクチン骨格の制御、細胞内シグナル伝達、転写制御などを担います。これらは細胞を取り囲むバンド (接着帯) や、細胞外マトリクスに接着するスポット (接着斑) として観察することができます。

正常な状態では、これは細胞間の秩序の形成に寄与しています。細胞間結合は組織中で細胞を隣接する細胞に繋ぎ止めます。また、これらは組織関門機能や細胞増殖、遊走などの重要な細胞プロセスにおいて組織の恒常性の制御も行っています。細胞間結合の欠陥は恒常性を損なう広範な組織異常の原因となり、遺伝的異常やがんでよくみられます。

細胞結合と細胞骨格の関係性は現在も研究が進められています。これは当初考えられていたより動的で、カドヘリン-カテニン複合体とアクチン細胞骨格やその他の膜結合タンパク質の弱い結合に依存している可能性が見出されています。

接着結合のシグナル伝達とこれに関与するタンパク質について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

 

参考文献

1) Hanahan D, Weinberg RA (January 2000). "The Hallmarks of Cancer". Cell. 100 (1): 57–70. doi:10.1016/S0092-8674(00)81683-9
2) Hanahan D, Weinberg RA (March 2011). "Hallmarks of Cancer: the next generation". Cell. 144 (5):646-74. doi: 10.1016/j.cell.2011.02.013.
3) Garcia, Miguel A. (April 2018). “Cell-Cell Junctions Organize Structural and Signaling Networks to Regulate Epithelial Tissue Homeostasis”. Cold Spring Harb Perspect Biol. 2; 10(4): a029181.
4) Hartstock A, Nelson WJ (March 2008). “Adherens and Tight Junctions: Structure, Function and Connections to the Actin Cytoskeleton”. Biochim Biophys Acta. 1778(3): 660–669.

 

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