LAB EXPECTATIONS

マイコプラズマコンタミネーション


Posted by CSTジャパン on 2019/06/01 6:00:00


マイコプラズマのコンタミネーションに代表される培養細胞の汚染は、実験に費やした日々の時間や労力を台無しにしてしまいます。

マイコプラズマは細胞壁をもたない非常に小さなバクテリアで、光学顕微鏡で視覚的に検出することができず、除菌が困難で、速やかに研究室に蔓延して行きます。その上、マイコプラズマは培養細胞の形態や生理機能に作用し得るため、実験結果に大きな影響を及ぼす可能性があります。したがって、マイコプラズマはただ煩わしいだけでなく、実験の再現性が取れない場合の、大きな原因となり得ます。

OVCAR8 myco

マイコプラズマが混入したOVCAR8細胞

 

予防 - マイコプラズマに対処するための最善の方法は、そもそも汚染を避けることです。

  1. 手袋や清潔な白衣等、適切なPPE (個人用保護具) を常に着用し、白衣は週に1回以上、忘れずに交換しましょう。

  2. 次に記したような無菌操作を遵守することは、コンタミネーションを防ぐために大変重要です。
    1. クリーンベンチや安全キャビネットは整理整頓し、気流を妨げないようにしましょう。
    2. 培養に用いる器具は、クリーンベンチや安全キャビネットに入れる前に70%エタノールで消毒するようにしましょう。
    3. プレートやボトルには蓋をして、むやみに解放しないようにしましょう。
    4. 蓋をしていない容器の上に、手や腕をかざさないようにしましょう。

  3. こぼした培地や試薬は、速やかに洗浄しましょう。

  4. 培養に用いるインキュベーター内で、溶液をこぼしたり飛散させたりすることを避け、定期的にクリーニングを行うことで、常に清潔に保つようにしましょう。定期的なインキュベーターのクリーニングには漂白剤を用い、蒸発防止用の水およびその容器は、毎週交換あるいは洗浄しましょう。

  5. マイコプラズマは周囲に拡散しやすいため、新たに入手した細胞や、過去にコンタミネーション試験を行なっていない細胞は、指定したインキュベーターのみで扱い、汚染のない細胞から隔離しましょう。

A549 clean
コンタミネーションのないA549細胞

 

試験 – マイコプラズマは非常に小さく、観察が困難であるため、検出には信頼できる方法が必要になります。

  1. 多くの試験キットが市販されていますが、確実な結論を得るために、複数の方法を並行して行うこともあります。試験にかかるコストや結果の待ち時間、研究室で使用可能な機器などによって、適当な方法を決定します。

  2. 定期的なコンタミネーション試験を行うか、凍結保存用の細胞は複数に分注し、その一部でコンタミネーション試験を行ってください。こうすることで、研究室にはコンタミネーションの無い複数の細胞ストックが保持されることになります。

 

対処法 – マイコプラズマのコンタミネーションが見つかりました。どのように対処すればよいでしょうか。

  1. 無論、第一にすべきことは、コンタミネーションが確認された細胞を、他の細胞から隔離することです。その後、除染を始めましょう。うまくいけば、細胞を救済することができます。

  2. コンタミネーション試験キットと同様、複数の除染用抗生物質が市販されています。Plasmocinは最も一般的に用いられる試薬の一つで、25 μg/mLで培養液に加え、1-2週間培養します。

  3. 除染操作が終わった後、抗生物質を取り除き、細胞をさらに1-2週間培養します。この後、再度コンタミネーション試験を行い、除染が成功したかどうかを確認します。

 

除染操作後にもマイコプラズマが検出された場合は、より長期間の除染操作を試みる、別の抗生物質を使用する、などの対処法が考えられます。長期間にわたる除染操作が必要な場合は、それに費やすコストや時間が、除染すべき細胞の価値・重要性に見合うかどうか十分に考慮し、除染を継続すべきか、細胞を廃棄すべきかの決断をする必要があります。

「コンタミネーションが起こった」という失敗を経験することで、コンタミネーションの予防の重要性に気づくことができ、また、同じ失敗を繰り返さないための動機付けとなります。無菌操作を慎重に行い、細胞をマイコプラズマ等のコンタミネーションから守ることが、より信頼性の高い実験結果を得るために役立ちます。

 

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