Toll-like Receptor (TLR) は、病原体に特徴的な分子パターンを認識し、自然免疫応答において重要な役割を果たします。TLRは侵入してくる病原体に対する最初の防御システムに関与し、炎症において免疫細胞の生存および増殖を制御します。今日までに、11種類のTLRファミリーが同定されており、そのうち、TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR6、TLR11は細胞表面に局在し、一方、TLR3、TLR7、TLR8、TLR9はエンドソーム/リソソーム分画に局在しています。TLRシグナル伝達経路の活性化は、細胞質のToll/IL-1 Receptor (TIR) ドメインから始まり、TIRにはTIRドメインを有するアダプターであるMyD88が結合しています。MyD88はリガンドによる刺激を受けると、デスドメインを介した相互作用によって、IL-1 receptor-associated kinase-4 (IRAK-4) をTLRにリクルートします。IRAK-1はリン酸化によって活性化され、TRAF6と結合します。そのあと、IKK複合体を活性化して、MAPキナーゼ (JNK、p38 MAPK) およびNF-κBを活性化します。TOLLIPとIRAK-MはIRAK-1と相互作用して、TLRが媒介するシグナル伝達経路を負に制御します。これらの経路の制御経路として、この他に、RIP1によるTRIF依存的なTRAF6シグナル伝達の誘導や、ST2L、TRIAD3A、およびSOCS1による、TIRAP媒介性の下流シグナルの抑制があります。MyD88に非依存的な経路はTRIFとTRAF3を介して活性化され、これによってIKKε/TBK1のリクルート、IRF3のリン酸化、インターフェロン-βの発現が起こります。TIRAP、TRIF、TRAMなどのTIRドメインを含有するアダプターは、個々のTLRシグナル伝達カスケードに対して特異性を与えることで、TLRが媒介するシグナル伝達経路を制御します。TRAF3は、自身の分解を介して、MyD88依存型およびTRIF依存型の両シグナル伝達の制御において、重要な役割を担っています。すなわち、MyD88依存型シグナル伝達を活性化する一方で、TRIF依存型のシグナル伝達は抑制します (また、その逆もあります)。
この図の作成にご貢献下さった、マサチューセッツ大学医学部 (マサチューセッツ州、ウースター) のPranoti Mandrekar博士に感謝いたします。
作成日:2009年7月
改訂日:2014年7月